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2014年12月 インタビュー

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早いもので、今年も残りわずかとなりました。つい先日結婚式をあげられた宗典さんと、本年最後のインタビューをいたします。

Q.新家庭をご紹介ください。

A.家内は郁(かおる)と申します。今年の6月8日に入籍しました。交際を初めて丸一年という日がたまたま私の亡くなった母の誕生日でもありましたので、この日に入籍をして、そしてつい先日、挙式と披露宴をさせて頂きました。おかげさまで何とか無事つとまり、少しほっとしています(笑)。もともと実家は二世帯で住めるような作りになっていて、その一角に私が独立して住んでいましたので、そこに新たに家庭を築くという形になりました。

Q.結婚なさって新たに考えたことはおありでしたか?

A.今までは全部自分のペースだけで仕事を入れ、生活をしていたのですが、これからはペース配分していくのが大事であろうな、ということです。この数年間、かなりの量の仕事をこなして来ました。これからもハードスケジュールをこなして行きますが、体調管理とか時間に余裕を持つといった配慮がより必要でしょうね。

Q.これからの舞台についてお話ください。

A.今月14日にいつもの武田同門会「朋(ほう)の会」がございます。今年最後の会です。私は地謡(じうたい)だけですが、出演いたします。朋の会の回数券はこの回で期限が切れますので、回数券をお持ちの皆様は、どうぞあますことなく、必ずご来場ください!

来年からは父武田宗和、父の従兄弟の武田尚浩、私の又従兄弟の武田崇史(たかふみ)と小早川修さんの御長男・小早川泰輝(やすき)君と、シテ(主役を演じる演者)が新たに四人増えますので、開催する回数を増やすことになりました。近年一門会というものは回数や人数を減らす傾向にあるのに、こちらは年四回から五回へ拡大という、ありがたいお話になっています(笑)。これも多くのお客様のお力添えのおかげです。これからも土日を中心に開催いたしますので、皆様にはぜひぜひいらして頂ければと思います!第一回は2月14日の土曜日です。

その前の1月17日には七拾七年会がございます。観世能楽堂が来年春に閉館になりますので、その前に、私たちのホームグラウンドである観世能楽堂で少し大きな公演をしようというはこびになりました。

今回の能の作品は「夜討曽我(ようちそが)」の「十番斬(じゅうばんぎり)」という、曽我兄弟の仇討ちを描いたものと、「石橋(しゃっきょう)」です。「夜討曽我」は十郎を従兄弟の武田文志(ふみゆき)が、五郎を私が演じます。石橋は、白獅子を文志が、赤獅子を私がいたします。二人で二番のシテを分け合ってやるという、画期的な内容です。とても楽しみです。

「夜討曽我」では、実の父親達に家来の役をさせるという、非常に無謀というか失礼というか(爆笑)、「何だこれは!」と思う方もいらっしゃるのではないか、という番組作りになっています(苦笑)。このキャスティングは二度と見られないでしょう。珍しいといえば、「十番斬」は34人という大勢が必要な作品ですので、観世流で出るのも東京で出るのも、多分10年ぶりくらいと思います。曽我兄弟が十人の侍とチャンバラをする、実際に斬り倒すといったお芝居仕立てになっているので、スピーディーでスペクタクル満載な、本当に見やすいわかりやすい作品です。「石橋」の他に、山本則重君が狂言の大曲「花子(はなご)」をつとめられます(蛇足ですが、このインタビューは則重さんの挙式披露宴の日に行われました!則重さん、ご結婚おめでとうございます!)。この三つの作品が一度に観られるというのは、手前味噌ですが大変贅沢な造りだと思います。その上に観世のお家元と野村四郎さんにもご出演頂くのですから、本当に贅沢ですね。この公演を御覧になって、もし「能は面白くない!」と思われたなら、私たちも潔く降参するしかないというくらい、自信を持っておススメできる公演ですので、ぜひ多くの方にいらして頂きたいと思います。

Q.さて話は変わり・・・・能楽師さんというのは、どのような年末年始をおくられるのか、お話頂けますか?

A.各流派や家々で多少違いますが、通常、舞台は12月の23、24、25日あたりの週末か祝日で終えまして、あとは休みにするか、もしくは地方へお稽古に出かけたりという具合です。私が所属する観世会の場合、1月は元旦から始動します。観世能楽堂に黒紋付で集まって、「謡初め(うたいぞめ)」を行います。数日経ちますと、観世会定期能の初会(はつかい)を賑々しくいたします。武田の一門の謡初めも別途にあります。その他ちょこちょこお正月恒例のイベントがあって、という流れですね。

私の育った家では、「紅白歌合戦」や「ゆく年くる年」をつけっばなしにしながら大掃除をしていたり(笑)、お正月の準備をしていたり、という感じだったかな。私の父は非常に料理が上手なので、昔から父が料理の担当です。行事がいろいろありますから、なかなかゆっくり出来るというわけではありません。けれど能楽師は季節感を大事にする仕事ですから、どんなに忙しくても、お正月という大きな節目は大切にしなければいけないと思っています。

宗典さんにとって2014年は大変に実り多き年でいらっしゃいました。来年はどのような年になるのでしょうか。今後のさらなるご活躍に期待いたします。

(インタビュアー:朱雀)