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2013年3月 インタビュー

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Q.2回目となる今回は4月に勤められる舞台を中心にお話を伺います。

まず、4月19日(金)に矢来能楽堂で行われる「のうのう能」で「忠度」のシテを勤められますね。(詳細はこちら→http://takedamunenori.com/archives/portfolio/%e3%81%ae%e3%81%86%e3%81%ae%e3%81%86%e8%83%bd)同じ観世流ですが、ご自身が所属していらっしゃる「観世会」とは別の団体「九皐会(きゅうこうかい)」の公演となりますが

A.「九皐会」は観世喜之師が御当主で、その御子息でいらっしゃる観世喜正師が中心となって主催していらっしゃる会で、2000年から始まった催しです。能楽を分かりやすく知って頂くための更なる普及を目指した公演で詳しい解説もあり、初心者の方にも安心してご覧頂ける講座の要素も含んだ公演です。そもそも観世喜正さんは私の小・中・高(暁星学園)の先輩にあたり、他団体に所属している私にも普段から何かと良くして頂いておりました。今回「のうのう能」に出演させて頂くのは2回目となりますが、前回は「望月」のツレ(シテ・観世喜正師)を勤めさせて頂きました。「望月」のツレというのも大変重要な役柄でありましたし、今回はおシテを勤めさせて頂くという事で、自分にとっても他団体でのおシテは初めての経験ですし、非常に責任を感じております。

Q.矢来能楽堂自体も初めてですか

A.いえ、私が仲間と主宰している「七拾七年会」の最初の公演は矢来能楽堂でさせて頂きましたので、舞台自体は経験させて頂いているのですが、今回は普段自分の公演にお越し頂いているお客様だけではなく、矢来能楽堂でいつも御覧になっているお客様も大勢いらっしゃいますので恥ずかしくないよう勤めたいと思っております。そういった意味でのプレッシャーはありますが、今回は父(武田宗和師)が後見を勤めますので安心感も持ちつつ、程良い緊張感を持って挑みたいと思っております。

Q.次に21日(日)の「花影会」(詳細はこちら→http://takedamunenori.com/archives/portfolio/%e8%8a%b1%e5%bd%b1%e4%bc%9a)についてお尋ねします。

A.「花影会」は祖父・武田太加志が始めた会で、祖父が亡くなり一時休会していた時期もございましたが、約20年程前から再開、伯父・武田志房と従兄弟・友志、文志が主催し年2回(春・秋)行っている公演です。今回は「正尊」のツレ・姉和を勤めます。「正尊」は能の中でも非常にお芝居の要素が強い演目で前場はシテ・正尊が起請文を読み上げる箇所など非常に緊迫感を持った舞台となりますが、後場は一転、激しい斬組みがあり見どころたっぷりの演目です。姉和は弁慶を夜討ちにかける正尊一行のいわば総大将のような役どころで非常にオイシイ役です(笑)

Q.姉和は2度目になるそうですが

A.いわゆる立衆とはやはり思い入れも違いますね。ただ斬られるだけではなく謡もありますし、立衆はツレ・江田源三、熊井太郎から斬られてしまうのに対し、姉和は弁慶と直接対決します。

Q.大将戦ですね。その敵の大将は今回人間国宝でいらっしゃる宝生閑師ですが

A.とても緊張します。そもそも宝生閑先生が「正尊」でワキ・武蔵坊弁慶を勤められるのを久しく拝見しておりませんし、今回お相手させて頂けるというのは自分にとって大変貴重な経験ですし非常にラッキーだと思っています。姉和は弁慶に最終的に斬られてしまう役どころでもありますし、胸を借りるつもりで挑みますが、あまり押し切られてもバランスが悪く見えてしまいますので、閑先生の圧倒的な存在感や雰囲気に飲み込まれすぎないようにしたいと思っております。

Q.そういった背景も踏まえつつ、姉和が立ち向かっていくところを想像すると非常に楽しみですね。

A.今回ご紹介した2曲はどちらも非常に分かりやすい演目だと思います。「忠度」は非常に能らしい部分もありますが、最後の“仕方話”と言いましてチャンバラ的な要素もありアクロバティックな箇所もあります。また「正尊」は皆様に非常に馴染みがある内容だと思いますし、後場の斬組みは純粋に楽しめます。どちらの会もしっかりとした解説がありますし、初心者の方にもお勧めの公演ですね。

Q.またご自身のライフワークでもある「謡サロン」(詳細はこちら)でも3月31日(日)に「忠度」の特集をされるそうですね

A.各地で「謡サロン」を開催しておりますが、最近東京では私自身がシテを勤める曲目を中心に行っております。東京の「謡サロン」では毎回ゲストの能楽師をお呼びしているのですが、今回初めて!父にゲストとして来てもらいます。最後に対談コーナーを設けているのですが父と対談・・・どうなりますやら(笑)

Q.満を持して御父上登場。これはファン必見ですね!

A.グズグズになる可能性もありますが、それはそれで楽しんで頂ければ。基本的には「忠度」の事前学習といった意味合いで行いますが、「のうのう能」にお越し頂けなくても、こちらだけご参加頂いても楽しめる内容にはなっております。曲目の解説や能面・装束をお近くでご覧頂けますし、実演もかなりお見せしますので是非お出かけ頂ければと思います。

Q.いつもオシャレな宗典師ですが今日も素敵なお姿ですね

A.実は今日は家族から誕生日(1月20日)にプレゼントしてもらった革ジャンを着てきました。毎年、家族でプレゼントを交換し合うのですが、去年は私が忙しくてみんなにプレゼントを用意出来ず、今年になって皆で買い物に出掛けました。

【そのエピソードを聞きながら思わずパチリ。革ジャン着てる能楽師、あまり見かけませんよね(笑)宗典さんらしい出で立ちでした】

(インタビュアー:前田玲奈)

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