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2014年7月 インタビュー

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Q.7月のインタビューという事で、だいぶ月が下ってしまいましたが、まずは今月のシテ番、お疲れさまでした。

振り返られて、今月12日の七拾七年会、そして横浜能楽堂の親子能楽ワンダーランドといかがでしたでしょうか?

A.まず12日の七拾七年会ですが、一日でシテと地頭を勤めるというのは数年ぶりの事で、大変充実した一日となりました。そしてシテと地頭、それぞれに問題点や新しいテーマを見つけることも出来ました。今後の自分自身の技芸を磨く上で、新たな指針としていきたいと思います。また七拾七年会の運営全体を見ても、色々な部分を見直したり、再検討したりするべき時期が来ているのではないかと痛感いたしました。会も7年目を迎えましたし、演者がマンネリになったりする事の無いよう、知恵を絞って努力を重ねていかなくてはなりません。幸い、来年1月17日(土)に、観世能楽堂で七拾七年会の大きな会を久しぶりに開催させて頂けることになりました。会の詳しい内容についてはまた追ってご案内しますが、これを良い機会に、より多くのお客様に愛される会にしなくてはならないと思っています。

また横浜の夏休みのワンダーランドは今年で4年目でした。朝から子供さん向けのワークショップ、午後に演能というなかなかハードなスケジュールなのですが、不思議と疲れを感じることがあまりありません。これはお子さんからたくさんのパワーを頂いているからなのではないかと思います。能楽堂に来られるお子さんは、年齢に関わらず礼儀正しく、活発でも人の話をきちんと聞けるお子さんが多いようです。今年はお子さんの集中力も高く、自分も気合が入りました。来年以降も続けさせて頂けることが出来たら嬉しいと思っています。いつも夏の楽しみなイベントの一つです!

Q.では来月の主なイベントをお教えください。

A.舞台以外のイベントとしましては、まず13日(水)に武田修能館で虫干しツアーのイベントがあります。これは武田家所蔵の数百点の装束・小道具・能面等を私のガイドツアー付きでご覧頂くイベントで、年1回限りのイベントです。今年は13時~と15時~の2回ツアーをします。定員が10名様ほどですので、いつもすぐにいっぱいになってしまうのですが、今年はまだ余裕がありますので、ご興味のある方はぜひいらして下さい。

また8月は21・22日の大阪、26・27日の行橋の定例謡サロンの他に、関西で2か所謡サロンをします。一つは23日(土)に奈良県桜井市三輪の「町家ゲストハウス三輪」で、翌24日(日)には宝塚市の「Silvia」で行います。ゲストハウス三輪は昨年に続き2回目、宝塚でのサロンはSilviaさんに移ってからは3回目となります。今年は世阿弥が最上級の言葉で自賛していた純愛の名曲「井筒」を特集します。三輪のゲストハウスはこぢんまりとしていますが町家風でとても風情があります。Silviaさんは逆にライブハウスのような現代的な空間です。対照的な場所で同じ「井筒」がどう見えるのか、自分でも楽しみです。関西でお近くにお住まいの方にはぜひいらして頂きたいイベントです。

また舞台は主なところでは30日(土)の朋之会になります。能は「高砂」「羽衣」「善界」と、これぞ能!という王道の作品ばかりです。きっと初めてに近い方でもご覧頂きやすい番組立てなのではないかと思います。私は「善界」の地頭を勤めさせて頂きます。善界はシテもそうですが、地謡もパワーと持久力が必要となってくる作品です。当日までにしっかりと体調を整えたいと思います。
Q.虫干しツアー、とても面白そうですね!なかなか無い貴重な機会だと思います。また謡サロンも空間が変わると、きっといつもと違った見え方をするのでしょうね。さて、8月は能楽師の皆さんは少し休みを取れることが多いと伺いましたが、今年はお休みを取れそうですか?また、どこかお出かけの予定などお有りでしょうか?

A.はい。通常ですとお休みを取れることが多いのですが、今年はまとまったお休みを取ることは難しそうです。と言いますのも、9月のシアトル公演に向けて、シアトルでリハーサルがあるため、中旬頃にシアトルに行くのです。4泊6日のスケジュールですが、滞在中はかなりみっちりとしたスケジュールになりそうです。ほとんど自由な時間は無いと思いますが、シアトルは空気も綺麗で素敵な街です。仕事とは言いながら、いくらか気分転換にはなるのではないかと思います。能の舞台だけであれば、リハーサルの為に現地に何度も足を運ぶことは通常無いのですが、今回は第2部で現代オペラにも出演致します。そういった意味で、この公演は本当に自分にとって大きなチャレンジなのだと改めて実感いたします。また能楽界全体を見ても、あまり例のない公演なのではないかと思います。

近日中に詳しい公演の内容を改めて本ホームページにもアップ致しますが、お時間に余裕のある方には、ぜひ見届けて頂きたい大変貴重な公演です。詳細をお知りになりたい方はtakedamunenori@gmail.comまでどうぞ気軽にお問い合わせください。

―きっと息つく間もないほどの忙しさでシアトル公演まで突入されるのだと思いますが、どうぞくれぐれもお身体お大事にされてください。益々のご活躍を期待しております!

(インタビュアー:富永涼)