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2013年6月 インタビュー

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Q.今回は今月下旬から出発される北米公演について色々とお尋ね致します。

まずは念願の海外公演が決まられた経緯などお聞かせ下さい。

A.そもそも今までに海外公演に参加した事は何度かありました。その中でも少人数で行ったイタリア(トリノ・ミラノ)公演、またサンフランシスコでのワークショップをきっかけに少人数でも能の魅力を海外の方へお伝えできるのではないか、それを自分でやってみたいという思いが強くなり3年ほど前から色んな方へ御相談したりしていました。

そんな中、昨年の秋頃に、以前から親しくして頂いている関西学院大学の教授の方(現在シアトル在住、ワシントン大学に在籍)から現地の日本人のプロモーターの方を御紹介頂き、今回の運びとなりました。

Q.過去の海外公演で役者として刺激を受けられたことも多かったと。

A.例えば、中国公演の際は北京の頤和園(世界遺産の庭園公園)の中にある舞台で公演を行ったり、またイタリア公演の際は舞台を一から作るところから行うなど、現地の空間とコラボレーションさせながら公演いたしました。その中でただ舞台に立って演じるだけではなく、プロデュースするという点も非常に魅力を感じたのです。と申しますのも、大学時代はミュージカルや現代演劇等も勉強しておりましたので、舞台を一から作る事も多々ありました。

海外公演というのは予算の関係や、現地の会場の関係など色々と制約も多くあります。その限られた中でいかに舞台を作り上げていくかというのは、国内の公演ではなかなか経験できない部分でもあります。幸い能楽は、能面・能装束そして役者がいれば取りあえず成り立つ演劇です。そこにあるものだけで舞台を完成させるというのが、自分のスタンスに合っているのではないかと思いました。

Q.今回の北米公演は12日間と日程も長く、シアトル・バンクーバーで公演が4公演、子供向け・学生向けワークショップがのべ4つ、他に取材やミニイベントなど大忙しのようですが、具体的にどのような事をなさるのですか。

A.今回は「侍SAMURAI」を全体の統一テーマにしました。能には侍(武将)が登場するものが沢山ありますので、修羅物やいわゆるチャンバラの要素が強いものがアメリカの方に向いているのではと思いまして。それと私がライフワークとしている「謡サロン」を海外バージョンで出来ないかと思い、それをベースに構成しています。

いつもの「謡サロン」は大まかなテーマを決め、あとは自分の言葉でお話ししていますが、今回はお客様が外国人の方なので、ワシントン大学にポール・アトキンスさんという能の研究者の方がいらっしゃいまして、その方に全面的に御協力頂き、台本をある程度作る事にしました。実は今回、この台本作りが一番苦労しました(笑)

Q.舞台では実演もなさるのですか。

A.もちろん致します。ただ今回は私と従兄弟の武田文志の2名で参りますので、面装束を着用しての実演をお見せしたりなどが出来ません。ですので、仕舞をお見せしたり、謡を聴いていただいたりという事になると思います。ただ、アメリカの方には実際に体験して頂くのがいいのではないかと考えていますので、見る・聞くだけではない参加型のワークショップを考えています。体験して頂く中で能のエッセンスを感じ取って頂けたらと思っています。

Q.気が早いですが、次の海外公演の事もちらほらお考えだとか。

A.まだ公演に出掛けてもいないのに何ですが、今回のことを受けて、既に現時点で幾つかお話を頂いたりしています。実現できるかどうか分かりませんが、出来れば来年以降もどこか海外での公演が出来れば、また続けていければと思っています。

Q.今後の海外公演での夢はありますか。

A.やはり本格的な能の公演をやってみたいです。あとはその土地のシンボルとなる建物や場所ってありますよね。それこそ世界遺産に登録されているような。そういう場所でコラボレートしてみたいなとは思います。例えばの話ですが、パリの凱旋門をバックにとか(笑)

Q.今回の北米公演は現地の新聞(北米報知新聞)にも掲載されました。改めて最後に意気込みをお願いします。

北米報知表面   北米報知中面

A.今回、本当に急なお話しで非常に嬉しい反面、準備が間に合うだろうかと不安もありました。予算にしても本来であれば、国際文化交流としてしかるべきところに助成金などを申請してある程度整った状態で行くのでしょうが、そのような時間もなかったため、今回は取りあえず自費でチャレンジしてみようと決意しました。

その後、ホームページ内で御協賛を募ることも致しました。

http://takedamunenori.com/archives/262

そのような中で、私がお目にかかった事もないのに活動に賛同して下さった方や、思いもよらない方から御支援賜りました。これは本当に有難く、御協賛者の皆様方の御支援がなければ現実とは成りえなかったと思います。改めてこの場をお借りして御協力頂いた方々に感謝申し上げます。皆様のご期待を裏切らぬよう、一所懸命勤めて参ります。

また帰国後、北米公演の活動報告もさせて頂く予定です。御期待下さい。

(インタビュアー:前田玲奈)