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2013年2月 インタビュー

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Q. 最近、ウェブサイトを全面改装なさったいきさつをご紹介ください。

A. 去年の二月に「道成寺の会」をいたしました。「若手能楽師の卒業論文」といった言い方もされる程大きな演目である「道成寺」をさせて頂き、本当の意味でひとり立ちしなくてはいけないと感じました。それには、様々な方面で目標を立て、私自身の個人的な改革を行わなくてはいけない、ウェブサイトの改装も考えなくてはいけない。このウェブサイトは私の幼稚園から高校までの同級生が作ってくれているのですけれど、彼と二人で三ヶ月四ヶ月くらいの時間をかけて話し合いを重ねながら、この一月に改装いたしました。このサイトは朋の会(ほうのかい:武田同門会より改称)の公式お申込み先としての役割も兼ねていますので、その辺も考えながら作り直しをいたしました。

Q. 「武田同門会」を「朋の会」と改名なさったのは、どなたのアイディアでしたか?

A. 自分でも誰か一人の意見でもなく、幾人かで決めました。武田志房(ゆきふさ)という私の伯父が武田家の当主なのですけれど、武田同門会のメンバーのすべてが志房の弟子ではないのですね。私に関していえば、直接の師匠は観世のお家元で、あとは自分の父という事になります。伯父にはいろいろ教えてもらいますけれど、直接の師匠ではない。他にもそういう方が何人かいらっしゃる中で、一門会とか同門会という名称はそぐわないのではないかと考えていたというのが、改名に至った大きな理由です。会の開催形式にも手を加えました。私だとか、伯父の長男次男である私の従兄弟、あるいは武田同門会を支えてくださる同人達は、従来の会の時間設定や曜日設定に懸念を抱いていました。平日の夕方開始で夜8時半9時に終わるのは、なかなか出て頂きにくい、誘いにくい時間帯だから、思い切って土曜日の昼にやってしまうのはどうかと。そうすることによってお客様を増やせる可能性もあるだろうし、といった話を伯父にしました。伯父も同じように考えていたという事で、ではこの機会に会名を変えよう、曜日も変えよう、せっかくならば番組表も変えようと。文字ばっかりであった番組表に写真を付けたりイラストを入れて、チケットも少し立派にして、一般のお客様に「これ(同門会)はしっかりとした会なのだ」と納得頂ける様なものに仕立てたい、と。少し内向きといった感じが強かった会が、これで多少外に開けた形になったのではないでしょうか。会は来月なので、始まっていないのですけれど、手元にあるチケットも去年よりだいぶ売れ行きが良いですね。上々のスタートかな、と思っています。

Q. インタビュー欄も新規に作られました。

A. 去年、自分のプロモーションビデオを作りました。その時にインタビュー形式でお話をして気づいたのは、インタビュアーの方の質問の持って行き方次第で、結構自分の話が良い方向に行くという事でした。一方的に発信するよりもインタビュー形式でお話した方が、思いもかけない話だとか、裏話だとか、本音といったものがご紹介出来るだろうと想像しまして、新たにインタビュー欄を加えました。

Q. インタビュー欄では、ご自身についても語られるのですか?

A. 能はどうしても堅くなりがち、閉鎖的になりがちな社会ですから、個人的な話題も少しは出して行こうと考えています。

Q. 発信はお好きですよね?

A. もともとそう好きではないです(爆笑)。好きではないけれどそういう役がまわってくるという具合です。学生時代は学級委員もやりましたし、弁論大会に出たこともありましたけれども、実はあまりやりたくなかった。まわって来たので仕方なくやりました(苦笑)。人前で喋るのは得意ではないと思っていました。能楽師になっていろいろ活動していくうちに、段々話し方がわかるようになって、今はこうやって少しは人様の前で話せる様になりましたけれど。

Q. ご自身にとって発信とは?

A. 能を外にアピールして広めていくのは、「自分に課せられている役割なのだ」と思う時があります。出来事とか閃くものとか、人との出会いのタイミングとか、発信に関しては物事が比較的スムーズにはこぶのです。自分自身の資質というより環境として、その様な流れに恵まれているのだろうと思っています。

Q. 今年はどのような年にしたいとお考えでしょうか?

A. 月並みな言い方なのかもしれませんが、今年は飛躍のきっかけの年だと思っています。もともと私にはいくつか仕事上の目標があり、数年以内にやりたいと願っているのですが、実は今年、その為の足がかりが作れそうなのです。うまく行けば、もしかしたら来年あたりには、自分が抱いて来た一つ目の夢が達成されそうな気がしています。

Q. 三十五才になりたてでいらっしゃいますが、三十五という年齢をどうお考えですか?

A. 実は七、八年前に、とあるスピリチュアル系の人に見て頂いたことがあって「三十五才からの十年十五年くらいが、自分の人生がかなり動く時期だ」と言われていたのです。去年三十四才で「道成寺の会」をやって、今年三十五でいよいよ何か動き出す気配を感じています。期待半分不安半分・・・かもしれないけれど・・・今のところは期待の方が断然大きいですね!

【思いの丈をたっぷりお話し頂き、ありがとうございました。これからのこのインタビュー欄の発展を大いに期待いたします。】

2013年2月                         (インタビュアー:朱雀)