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2015年12月 インタビュー

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―早いもので今年も残すところあと1ヶ月となりました。

2015年最後のインタビュー、先ずは今年の総括をお願いします。

 

今年は例年に比べおシテを勤めさせて頂く機会が多かったと思います。

「夜討曽我」に始まり、「熊野」「二人静」「融」「班女」とそれぞれとても素晴らしい作品に巡り逢え、課題をもって演じる事が出来て、大変勉強になった1年でした。

 

この数年、非常に目まぐるしい状況が続いてきていたのですが

(2012年「道成寺」披き、2013年、2014年シアトル公演、2015年ハワイ公演、NHK奈良主催「春日龍神」幽玄×デジタル制作など)

1つ区切りが出来た事で、力を蓄える事が出来た年になったと思います。

お弟子さんも非常に増え、能楽を知って頂く事の嬉しさも改めて感じられ、充実した1年となりました。

 

―では、来年の公演について・・と言いたいところですが、まだ本年のイベントもちゃんと残っているのですよね。

 

はい。

12月12日(土)15時~東中野の武田修能館でヨガと能楽のワークショップを行います。

ミッドタウン発祥の日本最大の屋外ヨガイベント【パークヨガ】の生みの親で、ディネ・アン・ブランというイベントも主宰なさっている石原来美さんと御一緒にヨガ・能楽それぞれの体の使い方や発声方法など御紹介していく予定です。

定員30名程度を予定致しております。ご興味がある方は是非お早めにお申込み下さい!

 

石原来美さんHP

http://nu-natural.com/blog/kumi/

 

―さて、いよいよ来年の公演についてお伺いします。

 

先ずは私の先輩・松木千俊さんの主催会で1月10日に国立能楽堂でございます「檀の会(まゆみのかい)」を御案内したいと思います。今回の能は「吉野天人 天人揃」「望月」の2番立てで、私も両方、地謡で出演させて頂きます。「吉野天人」は天人揃の小書付でとても華やかな雰囲気ですし、「望月」は千俊さんが満を持して披かれます。

 

「望月」は獅子という舞の部分があるため、割と皆さん早い内に披かれることが多くみられるのですが、小沢刑部友房は主君に死なれてから宿屋の主人に収まるまでかなりの時間を要したと考えられますし、ある種の「腹芸」のような物も必要になってきますので、ある程度熟年期に入ってから演じる方がいいのかなと個人的には思っていたので、千俊さんの「望月」は曲のイメージにもピッタリなのではないかと思っております。

 

松木千俊師 HP

http://www.matsunokai.com/rapidexp/item/17/

 

 

次に、1月16日(土)大分・平和市民公園能楽堂で行われます「能楽の祭典」を御案内させて頂きます。「能楽の祭典」は年に1度行われている公演で、今年は武田家が中心となった番組作りとなっております。私は主に解説と仕舞「殺生石」を勤めさせて頂きます。

 

能「鶴亀」は叔父の志房がシテを、甥の章志と馬野正基さんの御子息・訓聡くんが子方で出演します。中国王宮の新春の儀式をテーマにした能でお正月にぴったりな曲です。子方2人の可愛らしい舞も必見です。

もう1番は従兄弟・文志がシテを勤める「熊野」です。私は地謡で出演させて頂きますが、私自身、今年勤めさせて頂いたばかりの曲ですし、全力でサポートしたいと思います。

 

-そして2月朋之会では待ちに待ったおシテですね。

 

昨年から公演数が年4回から5回に増え、更にパワーアップしてきた朋之会。

2016年は初回の2月13日(土)公演のトップバッターとして「弱法師」を勤めさせて頂きます。

 

-しかも「弱法師」は大変待ち望んでいた曲だったそうですね。

 

ずっと「弱法師」は演じてみたい曲の1つでした。曲目を決める際、自分から「今年は弱法師を・・・」と言おうとしていた正にその時、父からも「弱法師はどうか?」と言われ驚きました。

 

「弱法師」は今まで勤めさせて頂いた曲目にはない部分が沢山あります。シテの俊徳丸は父から捨てられ弱法師と言われる盲目の乞食となり、天王寺で寺の縁起を語り舞う中で父と再会する物語ですが、舞台に出てくる場面から杖をつき謡いながら橋掛かりを進んでいきます。これはご覧になっているよりもずっと難しく、出だしから難易度の高い演技が要求されます。

 

更に、杖を使い探りあてる型や、興奮して杖をつきながら人にぶつかったり、手放してしまった杖を手探りで拾うなど、盲目であるが故の杖を使う様を演じ分ける必要があります。

後半はかなりダイナミックな舞もあり、飽きさせない展開となっています。

 

面は正に「弱法師」と名付けられた専用面を用います。こちらもお客様には興味深くご覧頂けるポイントの1つではないかと思います。

 

弱法師は心の目で色んな物を見ています。その様子がお客様にも伝わるように演じらえたらと思っております。

 

朋之会 詳細はこちら

http://takedamunenori.com/portfolio/%e5%b9%b3%e6%88%9028%e5%b9%b42%e6%9c%88%e3%80%80%e6%9c%8b%e4%b9%8b%e4%bc%9a/

 

-宗典さん自身も大変思い入れのある「弱法師」楽しみですね。

では最後に来年の抱負などをお聞かせ下さい。

 

冒頭にお話しした通り、この数年アウトプットする事が続いたので、来年はインプット―充電する時間を作りたいと思います。本を読んだり、お稽古内容を充実させたり、英会話の勉強もしたいですね。

 

色々なことに挑戦させて頂く中で、改めて勉強し直したい事や新たな発見などもあったのですが、慌ただしく過ぎていく毎日の中で、それらを深く探求する時間が持てなかったりもしたので、来年はその時間を充実させていけたらいいなと思っています。

 

-更にステップアップする為にも必要な時間ですね。

年末年始、お仕事から解放される時間はありますか。

 

今年は少しゆっくり出来そうで、1月下旬に家族で旅行に行こうと思っています。

昨年末に結婚してから父に恩返しが出来ていなかったので父を連れて香港・マカオに行く予定です。行先は父のリクエストです。

 

-心も体も充電されてまた素晴らしいお舞台を拝見させて下さい!